東京高等裁判所 昭和46年(う)2547号 判決
被告人 田辺弥吉
〔抄 録〕
原判決は被告人がほか一名と共謀のうえ無免許医業を行なったという事実を認定、判示し、その所為に対し関係罰条を適用するほか刑法第六〇条をも適用しているのであるから、原判決が法令適用の項において、被告人に共同正犯の責任があるものと判断していることは疑いがないので、原判決の認定した事実とその適用した法令との間には、所論の矛盾がなく、原判決の理由にはくいちがいが認められない。そして原判決が右六〇条のほか刑法第六五条第一項をもあわせて適用していることは所論のとおりであるが、医師法第一七条、第三一条第一項第一号で規定する無免許医業の罪において、その犯人に医師の資格がないということは、刑法第六五条第一項にいう身分にはあたらないのであるから、その犯人の無免許医業に協力、加功しても、同法条にいわゆる身分により構成すべき犯罪行為に加功したことにはならないのであり、従ってその無免許医業に共謀共同正犯の態様において加功した者に対し、法令の適用をするには、関係罰条のほか刑法第六〇条を適用すれば足り(医師の資格があるからといって、他人の無免許医業に協力、加功することまでを許されているわけではないのであるから、医師が他人の無免許医業に加功すれば、その加功の程度に応じた責任を負うのは当然である。)、同法第六五条第一項をもあわせて適用する必要はない。
(江里口 上野敏 中久喜)